決済時、貸し手はこんな取引を持ちかけてきます。今お金を払えば、今後30年の金利を下げます、と。この前払いをディスカウントポイントといい、ある一つの数字次第で、住宅購入で最も賢い買い物にも、最も無駄な買い物にもなります。その数字とは損益分岐点です。何十年も持ち続けるローンでポイントを買えば、静かに毎年数百ドルを稼いでくれます。引っ越しや借り換えの前に買えば、貸し手に現金を寄付しただけです。損益分岐点の計算方法と、ポイントが本当に得になる条件を解説します。
ディスカウントポイントとは
1ディスカウントポイントは借入額の1%の費用がかかり、通常は金利を0.25%下げる効果があります。$400,000のローンでは、1ポイント=前払い$4,000で金利が約0.25ポイント下がります。端数(ハーフポイント、クォーターポイント)での購入や複数ポイントの積み上げも可能で、金利の下げ幅はほぼ比例します。
ポイントはオリジネーション手数料やレンダークレジットとは別物です。オリジネーション手数料は貸し手がローン実行に対して課す手数料で、金利は下がりません。レンダークレジットはポイントの鏡像で、高い金利を受け入れる代わりに貸し手があなたに支払う(諸費用の控除として)ものです。3つはいずれも「金利と現金」のトレードオフ曲線上の異なる点にすぎません。貸し手には必ず3パターンの見積もりを求めましょう。
損益分岐点の計算式(実数で)
判断はすべて、たった一つの割り算に集約されます。
損益分岐点(月数)=ポイント費用 ÷ 月々の返済額の節約分
具体例――$400,000のローン、30年返済:
- 金利6.50%・ポイントなし:月$2,528.27
- 1ポイント($4,000)を購入 → 金利は約6.25%に:月$2,462.87
- 月々の節約額:$65.40
- 損益分岐点:$4,000 ÷ $65.40 ≒ 61か月(5年強)
2ポイント($8,000)を購入 → 金利は約6.00%に:返済額$2,398.20、節約額月$130.07、損益分岐点は$8,000 ÷ $130.07 ≒ 61.5か月です。損益分岐点はほとんど変わらないことにお気づきでしょうか。各ポイントが似た幅の金利引き下げを買うため、回収期間はほぼ一定だからです。変わるのは損益分岐点以降の利益総額です。2ポイントなら、ローンが終わるまで2倍の月々の節約が続きます。
判断の鉄則:損益分岐点の月より長くローンを持ち続けるならポイントは得、損益分岐点より前に売却や借り換えをするなら損です。61か月目以降のすべての支払いが、1ポイントの取引では純粋な利益になります。毎年約$785が、最長であと25年間続きます。
ポイント購入が得になる場合
- 長く住み続ける。これが最大の条件です。10年以上住む「終の棲家」でポイントを買うのは、通常は明確な得です。4年で売るスターターホームでの購入は、確実な損です。
- 無理なく現金を用意できる。ポイントは頭金、緊急資金、引っ越し費用と同じ財布を争います。決済時に現金が乏しくなるようなお金でポイントを買ってはいけません。
- すでに良い金利を得ている。ポイントは交渉済みの金利に上乗せされます。まず基本金利で競わせてから、ポイントの価格を出させましょう。「ポイントが安い」と言う貸し手の基本金利が高いなら、単にお金を別のポケットに移しているだけです。
- 確定申告で控除を使っている。購入時の住宅ローンで支払ったポイントは、一般に支払った年の住宅ローン利息として控除できます(ご自身の状況は税理士にご相談ください)。実質的な損益分岐点が短くなります。
ポイントが罠になる場合
- 近いうちに借り換える可能性がある。借り換えはローンを置き換えるため、回収できていないポイントは消滅します。損益分岐点の期間内に金利が下がる現実的な見込みがあるなら、ポイントは見送りましょう。借り換えの際に(買うかどうか含めて)改めて検討できます。
- 保有期間が短い。転勤、家族の増加、住み替えは、ポイント投資を早期に終わらせます。どれくらい住み続けるか、正直に向き合いましょう。
- 損益分岐点が約7年を超える。貸し手がポイントを割高に設定していることがあります(1ポイントで0.125%しか下がらないなど)。回収に10年かかる計算なら、ポイントは高すぎます。基本金利の交渉に切り替えましょう。
- 現金に余裕がない。ポイントの1ドルは、緊急資金の1ドルではなくなります。ポイントのリターンは遅く確実ですが、現金のクッションのリターンは、突然の屋根の修理を乗り切れることです。
ポイントと頭金増額のどちらが得か
よくある悩みです。$4,000をポイントに回すか、頭金を$4,000増やすか。頭金は借入残高を恒久的に減らします。返済額も利息総額も減り、PMIが外れる可能性もあります。ポイントが下げるのは金利だけです。目安として、頭金が20%未満なら頭金増額が勝つのが通常です(PMIの節約が増幅します)。すでに20%以上なら、両方を直接計算して返済額の低い方を選びましょう。万能の勝者はいません。哲学ではなく算数です。
プロのようにポイントを交渉する
ポイントはレートシートという価格表で決まりますが、貸し手は自ら見せてくれません。直接尋ねましょう。「ポイントなしの金利はいくらで、金利を0.25ポイント下げるごとにいくらかかりますか?」と。ローン見積書(Loan Estimate)に書面で出させてから、次の手順に進みます。
- まず基本金利で競わせる。ポイントの話をする前に、3社以上の貸し手でポイントなし金利を交渉しましょう。基本金利を高く設定して「ポイントが安い」と言う貸し手は、あなたの現金を明細の項目間で移動させているだけです。
- 全メニューを出させる。貸し手は0、0.5、1、1.5、2ポイントなど任意の組み合わせを提示できます。1ポイントあたりの単価は、買う量が増えるほど改善することがよくあります(2ポイント目の方が1ポイント目より大きく下がることも)。各段階を個別に価格計算しましょう。
- レンダークレジットと比較する。金利を0.25%上げる代わりにいくらの控除をくれるか尋ねましょう。上げる場合の控除が、下げる場合の費用を上回ることがあります。決済時の現金が厳しいなら、この非対称性を利用できます。
- タイミングを計る。金利とポイントの組み合わせは、一般に同時にロック(金利ロック)します。早めにロックして決済前に金利が下がったら、ポイントを嘆くよりフロートダウン(引き下げ)の選択肢を尋ねましょう。
借り換えでも同じ計算が使えますが、重要なのは保有期間です。15年持ち続ける借り換えでのポイントは、7年で手放すかもしれない購入時のポイントより、通常はお得です。借り換えの借入人は、すでに自分の滞在行動を明らかにしているからです。
ローン見積書でポイントを見つける
貸し手は標準化されたローン見積書(Loan Estimate)でポイントを開示する義務があります。2ページ目のセクションA(「Origination Charges」)です。ディスカウントポイントは項目名付き(例:「Discount points — 1.000%」)で、オリジネーション手数料とは別に記載されます。貸し手を比較するときは、ローン見積書を並べて同じ金利でのセクションAの合計費用を比べましょう。2ポイント付きで低い金利を提示する貸し手は、損益分岐点の計算をするまで、ポイントなしで高い金利を提示する貸し手より安いとはいえません。ローン見積書があれば比較は機械的です。同じ金利なら合計費用の安い方が勝ち、金利が違えば損益分岐点の計算が決めます。
要点まとめ
- 1ポイント=借入額の1%の前払い ≒ 金利が0.25%下がります。
- 損益分岐点=ポイント費用 ÷ 月々の節約額です。$400Kでは1ポイントの損益分岐点は約61か月です。
- 損益分岐点を超えて持ち続ければポイントは得、超える前に売却・借り換えすれば損です。
- 緊急資金のお金でポイントを買わず、近いうちに借り換える可能性がある場合も買いません。
- 頭金20%未満では、頭金増額がポイントに勝つのが通常です。
よくある質問
1ポイントで金利はどれくらい下がりますか?
通常は約0.25%ですが、貸し手や市場によって異なります。ポイントあり・なしの正確な金利を必ず確認してください。0.125%しか下がらないなど条件の悪いポイントもあり、その場合は割高なのが通常です。
ディスカウントポイントは税控除の対象ですか?
自宅購入のためのローンで支払ったポイントは、IRS(米国内国歳入庁)の条件を満たせば、一般に支払った年の住宅ローン利息として控除できます。借り換え時のポイントは、通常はローン期間にわたって控除します。税法は変わりますので、税理士にご確認ください。
端数のポイントも買えますか?
はい。ほとんどの貸し手は1/8や1/4刻み(0.125、0.25、0.5、0.75)で販売しています。きりの良い数字に特別な意味はありません。提示された端数について正確な損益分岐点を計算しましょう。
ARMでポイントは得になりますか?
まれです。損益分岐点の計算は金利を何十年も持ち続ける前提ですが、ARMの金利は5~10年で見直されます。ポイントの割引が異常にお得でない限り、変動金利ローンでのポイント購入は見送りましょう。
ディスカウントポイントとオリジネーション手数料の違いは何ですか?
ディスカウントポイントは金利を下げるための費用であり、オリジネーション手数料はローン実行に対する貸し手の手数料で、何も買いません。どちらもローン見積書に記載されます。単一の項目ではなく合計費用で貸し手を比較しましょう。
ポイントを現金でなくローンに組み込めますか?
認める貸し手もありますが、ポイントを借り入れると30年間その利息も払うことになり、損益分岐点は大幅に延びます。ポイントを買うなら、決済時に現金で支払うのがほぼ常にお得です。
関連する計算機
住宅ローン計算機でご自身のローンの損得を試算し、住宅ローン借り換え計算機でポイントが借り換え判断にどう絡むか確認したり、住宅ローン繰上返済計算機で単に繰り上げ返済する案と比較したり、住宅ローン返済スケジュール計算機で返済全体の姿を把握したりできます。